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この記事は古く、 OpenBSD 6.0 で Xfce4 日本語デスクトップ環境の構築 のほうが新しいので、おすすめです!
デスクトップ環境として OpenBSD を用いることは、実はとても簡単です。こ のページでは、OpenBSD のインストールの後、日本語が表示入力できる Web ブラウザが使えるようになるまでの、パッケージのインストールや設定方法を 説明します。
OpenBSD のインストールは、次のようにインストールしておいてください。
また、この文書は、OpenBSD 4.9 を前提にしていますので 4.9 以降の最新リ リース版をインストールしてください。OpenBSD のリリース版は安定している ので常に最新リリースを使うのが吉です。OpenBSD のインストールが完了して 起動すると、次の画面のような xdm によるログイン画面が表示されます。
この後、パッケージを使って、各種プログラムをインストールしていきますが、 その前に、パッケージシステム自体の環境を整備します。
xdm によるログイン画面からログインすると、デフォルトの Window マネージャ である「fvwm」と「xterm」が起動します。この、起動した xterm を使い、パッ ケージ関連の環境の整備をしていきます。
この後の作業が簡単になるよう、パッケージを取得する「配布元サーバ」と、 「取得したパッケージの置き場」を環境変数として設定しておくことにします。
環境変数 | 設定例 |
---|---|
PKG_PATH | ftp://ftp.iij.ad.jp/pub/OpenBSD/4.9/packages/i386/ |
PKG_CACHE | $HOME/Downloads/OpenBSD/4.9-i386-packages/ |
次の実行例では、テキストエディタで pkg_env.sh というスクリプトを作成し、 環境変数を設定し、パッケージ置き場のディレクトリを作成しています。 (この環境変数は、シェルの初期設定ファイル .profile .bashrc または .cshrc などに設定してしまっても構いません)
$ mg pkg_env.sh $ cat pkg_env.sh export PKG_PATH="ftp://ftp.iij.ad.jp/pub/OpenBSD/4.9/packages/i386" export PKG_CACHE="$HOME/Downloads/OpenBSD/4.9-i386-packages/" $ $ . pkg_env.sh $ $ mkdir -p "$PKG_CACHE"
Window マネージャは GNOME(Metacity) や KDE などが、よく使われています が、ここではシンプルな fluxbox をインストールしてみます。インストール は、以下の実行例のように、pkg_add コマンドにパッケージ名を指定するだけ です。
$ . pkg_env.sh $ su -m Password: # pkg_add fluxbox (省略) fluxbox-0.9.15.1p3: ok # exit $
すこし余談ですが、IPv4 の NAT またはファイアウォールの中から使っている 場合、この pkg_add の後に固まる (反応がなくなる) 場合があります。その 場合は、次のように ~/.netrc を設定するとこの問題を回避できます。
$ mg ~/.netrc $ chmod 600 ~/.netrc $ cat ~/.netrc default macdef init epsv4 off $ (最後の空行は重要です)
pkg_add コマンドが完了すれば、インストールは完了です。.xsession に登録 し、Window マネージャを fluxbox に切り替え、ログインしなおします。
.xsession に fluxbox を足します。
$ echo fluxbox > .xsession
現在利用している fvwm を終了してログインしなおします。 fvwm を終了するには、マウスを用いて「Exit」するか "pkill fvwm" を実行 します。再ログインすると fluxbox が起動します。
fluxbox は、使用する色などを好みに変更できます。右クリックして fluxbox menu -> System Styles で、「Cthulhain」にすると、
こうなります。
日本語入力として anthy と uim をインストールします。右クリックして xterm を起動して、次のように anthy、uim、uim-gtk、unzip をインストール します。
$ . pkg_env.sh $ su -m Password: # pkg_add anthy uim uim-gtk unzip (省略) # exit $
続いて、日本語のスケーラブルフォントとして「IPA フォント」をインストー ルします。「IPAフォント」は、
http://ossipedia.ipa.go.jp/ipafont/index.html
から入手可能です。使用許諾に同意する必要がありますので、同意の上、「4 書体パック」をダウンロードし、「4 書体パック」のフォントを ~/.fonts に 配置します。
$ unzip -x ~/Downloads/IPAfont00302.zip Archive: /home/yasuoka/Downloads/IPAfont00302.zip inflating: IPAfont00302/IPA_Font_License_Agreement_v1.0.txt inflating: IPAfont00302/ipag.ttf inflating: IPAfont00302/ipagp.ttf inflating: IPAfont00302/ipam.ttf inflating: IPAfont00302/ipamp.ttf inflating: IPAfont00302/Readme_IPAfont00302.txt $ mkdir ~/.fonts $ mv IPAfont00302/* ~/.fonts/ $ (cd ~/.fonts; mkfontdir; mkfontscale) $ rm -rf IPAfont00302 (後片付け) $
日本語入力と、追加した IPA フォントを有効にするために、.xsession を編 集します。
$ mg .xsession $ cat .xsession export XMODIFIERS=@im=uim export GTK_IM_MODULE="uim" xset +fp $HOME/.fonts uim-xim & LANG=ja_JP.UTF-8 uim-toolbar-gtk & fluxbox $
つづいて、Web ブラウザとして Chromium (Chrome) をインストールします。 Chomium もパッケージからインストールできます。
$ . pkg_env.sh $ su -m Password: # pkg_add chromium
chromium が必要とするパッケージは少し多いので、実行には少し時間がかか ります。また、手作業を要求するメッセージが表示されます。必要な手作業を まとめると、
となります。
まず 2. のリソースリミットですが、OpenBSD のインストーラで作成したユー ザのアカウントは、ログインクラスが "staff" になっているため、datasize は無制限にすることができるので、設定は必要ありません。"staff" になって いない場合には、ログインクラスを usermod で変更するのが良いでしょう。
1. と 3. は以下のように実行します。
# ln -sf /usr/local/bin/python2.6 /usr/local/bin/python # ln -sf /usr/local/bin/python2.6-config /usr/local/bin/python-config # ln -sf /usr/local/bin/pydoc2.6 /usr/local/bin/pydoc # echo "kern.shminfo.shmall=32768" >> /etc/sysctl.conf
sysctl の反映もあるため、一旦 OS を再起動します。
# shutdown -r now
再起動後、ログインして chrome を起動します。
リソースリミットを外して chrome を起動します。
$ ulimit -n $(ulimit -H -n) $ ulimit -d $(ulimit -H -d) $ LANG=ja_JP.UTF-8 chrome (これは、面倒なのでスクリプトにしとくと良いでしょう)
日本語のページが表示されます。anthy による入力もバッチリです。
さらに YouTube などを楽しむには、Flash を再生する必要がありますが、残 念ながら Adobe Flash Player は OpenBSD で動かすことができません。代わ りに GNU の Flash Player である gnash を動作させることができます。 gnash もパッケージからインストールすることができます。
$ . pkg_env.sh $ su -m Password: # pkg_add gnash # ln -s /usr/local/lib/mozilla/plugins /usr/local/chrome/ (最後の ln コマンドによるリンクは、将来は不要になるかもしれません) # exit $
chrome を再起動すると、Flash が使えるようになります。
ここまで OpenBSD での日本語環境は、意外と簡単であることを示すために説 明してきました。この他の日本語化対応のソフトウェアのほとんどは、 OpenBSD でも問題なく動作するはずです。実際に私が使っていて問題のないも のは、
プログラム | パッケージ名 |
---|---|
端末 | uxterm (標準でインストールされる) |
PDFの表示 | epdfview, poppler, poppler-data |
エディタ | emacs 23.3.1 + emacs-anthy |
です。Linux などと比較した場合、OpenBSD で特別に注意すべき点は次の 2つ です。
2. で実用上、私が困ったのは以下の 2 つでしたが -current で、次の バージョン 5.0 では、解決する見込みです。
この文章に誤りなどがある場合には yasuoka at yasuoka.net まで、ご連絡いただけるとたすかります。
このページは、短縮 URL http://bit.ly/obsd_ja でアクセスできます。